当クリニックの会陰切開率はとても低いです

  初産の方の会陰切開率 経産の方の会陰切開率 3ヶ月間の経膣分娩数
平成10年10月〜12月
96.7%
85.7%
73名
平成17年10月〜12月
60.3%
18.6%
135名

上記の数字は、平成10年(開院2年目)の当クリニックでの会陰切開施行率を、昨年末(開院9年目)の3ヶ月間での数字と比較したものです。
会陰切開率がとても少なくなっていることが良くわかります。
当クリニックの「安らかなよいお産〜自然分娩(新ラマーズ法、ソフロロジー法)」が浸透してきたことによって、より良いお産が実現できていることを示す数字だと思います。
私もスタッフもこのことをとてもうれしく思いますし、当クリニックでお産をする皆様とともに誇りにして良いことだと思います。
ところで、会陰切開についてよく質問されますので、基本的なことや当クリニックの方針についてご説明します。
会陰切開とは、分娩第二期の児頭発露時(次の陣痛で産まれそうなとき)に、そのまま放置しては大きな会陰裂傷(自然な傷のこと)が発生しそうだと判断した場合、局所麻酔を施行して適切に会陰切開をすることによって、スムーズに分娩を進行させる医療手技のことです。縫合は吸収糸(溶ける糸で抜糸が不要)で行います。局所麻酔しますから痛みは軽度で心配ありませんし、1ヶ月健診のころには傷跡も良くわからないほどにきれいになっていることが普通です。
以前は、産科医の常識として、会陰切開を適切に施行した方がお産もスムーズだし傷もきれいだという考え方が主流でした。現在でも、会陰切開率がとても高い分娩施設は決して少なくないのが実情です。
しかし、妊婦さんたちの心配や要望は、「会陰切開は痛そう」とか「なるべく自然にしてほしい」という声が強いですし、医療者側の適切な指導アドバイスのもとで、自然分娩主義に則った上手な呼吸法・リラックス法でよいお産ができれば、会陰裂傷なしで産める事もありますし、切れても小さな傷のことも多く、産後の状態も良いということが、最近では良く認識されるようになって来ました。
当クリニックとしましても、会陰切開はなるべくしないという方針です。
しかし、可能な限り会陰切開せずに経過をみても、放置してはどうしても大きな傷ができそうだと判断した場合は、必要最小限の会陰切開&縫合術を施行することにしております。
その場合でも、決して痛くないようにしますし、抜糸の必要もありませんから、「こわがらなくていいですよ」と申し上げたいと思います。

平成18年2月3日(記)