性教育とは人生教育そのものです

先日、地元のある高校から「性教育についての講演」を頼まれましたのでお話してきました。7月13日という三条水害の一周年の日でしたので、あの悲惨な出来事の一年後に平穏に講演できるという幸せも感じました。1時間ほど体育館にて全校生徒の皆さんにお話してきましたが、今の高校生はおとなしくてシーンとして聴いてくれたので感心しました。
演題名は「高校生の性の現状と問題点について」です。
まず 始めに<こんな現実があります>ということで、最近の性のモラルの乱れや性感染症、安易な中絶の問題等についてお話しました。
次に<新潟県内の高校生の性に関する知識や意識についての現状>ということで、一昨年11月に新潟県内の高校生を対象にしたアンケートを材料にお話しました。意外と正確な知識を持っているようです。 たとえば、「コンドームは最初から最後までつけていないと避妊効果がない」についての正解は80%、「性感染症の中にはほとんど無症状の場合もある」についての正解85% などです。しかし、愕然としたのは「愛情がなくてもセックスしてよいと思う」高校生が、男子25%、女子8%もいることです。さらに、「お金や物をもらってのセックスはかまわない」と思うのは、男子13% 女子6%もいました。こういう考え方の高校生は性犯罪を犯す危険すらあるのではないかとたいへん心配しています。性体験率は、3年男子33%、3年女子43%とかなり高いですが、これは全国平均とほぼ同じです。その一方では、高校生の悩みとしては、男女共に「男女交際の悩み」が一番でした。女子は「どうすればいいのか セックスすべきか 相手の気持ちがわからない」と悩み、男子は「どうやって告白するのか どう付き合うのか やり方がへただと思われないか 避妊法がよくわからない」と悩んでいます。
そこで、先日の講演では 高校生の皆さんに 知ってほしいことと 是非考えてみて欲しいとことして 下記のようなことを 申し上げました。
* 高校生に知ってほしいこと
<妊娠の仕組み 出産(人の誕生)の様子 人工妊娠中絶の現実 避妊法の知識 エイズ・性感染症についての知識> 
これらのことは自分で調べて知識をつけることができることなので、是非勉強してくださいとお願いしましたが、次の考えてほしいことについてはどこにも正解が載っていないような哲学的テーマもありますので、自分の心と頭で良く吟味熟考して大いに哲学してくださいとお話しました。
* 高校生に考えて欲しいこと
<性欲をコントロールするということ 性行動と生命倫理・人権尊重との関係や兼ね合いについて 恋愛や結婚とはどういうことか 一夫一婦制は正しいと思うか 不倫とはどういうことか 愛が無くてもセックスして良いのか 性感染症STDにならないためにはどうすべきか 人工妊娠中絶しないためにはどうすべきか 人の命はいつから始まるのか 胎児の性別を選ぶことは許されるか 胎児の遺伝子病のチェックや受精卵の遺伝子病のチェックは許されるか クローン人間は許されるか 等々>
 いずれもたいへん重いテーマばかりですが、そういうことについてじっくり考えてみることにたいへん意義があるのだと思います。
そして 実際の男女交際については下記のようにアドバイスしました。
<男子高校生へのアドバイス> 
高校時代はセックスしないでマスターベーションで我慢しましょう。
女性には優しく紳士的に接することが大切です。 
もてたかったら 頭を鍛えるか 体を鍛えることです。
将来大人になってもコンドームを買う勇気も無いならセックスしてはいけません。
<女子高校生へのアドバイス> 
高校時代にはセックスする義務も権利も必要性もないと思いませんか。
将来的にも、交際してすぐに簡単に身体を許してはいけません。 
最低半年は我慢させましょう。我慢できずに切れるような男は別れましょう。 
同時に複数の男性とつきあったり すぐに相手を変えたりするのは 不幸の元です。
暗い夜道 深夜の繁華街などの危険な場所に行ってはいけません。 
大学へ行ったら十分に用心してください。合コンは相手をしっかりと選びましょう。 
緊急避妊ピルという緊急避妊法を覚えておいてください。
<おわりに>
そして、話のしめくくりとして 「性の知識は、幸せな人生を送るために必要なことです。人生において 幸せな家庭を築くということは、とても大切で価値のあることです。性教育とは、人生教育そのものとも言えると思います。性について考えることは、人間とは何か、人生とは何かを考えることです。大いに 哲学してください。」とお話しました。

                                                             以上
                                       於 平成17年7月13日(水) 三条高校